透磁率の計測

 磁気的な機能性が期待される薄膜、バルク材料、複合材料(微粒子+樹脂)などの初透磁率を, Tohoku-TMITメンバーによって開発された種々の計測システムと従来の機器を活用して計測・解析、さらに磁気物性の観点から議論をすすめて適切な開発方針を検討、consulting を行う。


Ⅰ.MSLプローブ

    試料の表面に置くだけで透磁率を計測できる画期的なプローブです。局所的な透磁率の測定や大きな

  ウェハーなどの表面分布の評価に威力を発揮します。

   

  特徴 : 広い周波数範囲、薄膜、バルクなど試料形状、サイズ制限なし

        例:Siウエハー基板試料の透磁率の分布イメージ

  周波数範囲: 0.1 40GHz

  膜厚: 5nmまで

  測定対象: 高透磁率薄膜(Ni-Fe, Co系アモルファス、グラニュラー薄膜など)

          フェライト(Ba フェライト系、Ni フェライト系)

          微粒子(樹脂複合シート)

  

参考文献:S. Yabukami, K. Kusunoki, H. Uetake, H. Yamada, T. Ozawa, R. Utsumi, T. Moriizumi, Y. Shimada, “Permeability Measurements of

     Thin Film Using a Flexible Microstrip Line-Type Probe Up To 40 GHz”, Journal of the Magnetics Society of Japan,

     Vol. 41, No. 2, pp. 25-28 (2017).

 

図1.MSLプローブ


Ⅱ.フェライトヨーク法

  透磁率測定では、測定対象となる試料の形状、サイズによって敏感に変化する反磁界の補正を考慮する必要がある。フェライトヨーク法では、図2のように、試料表面にフェライトを充てることで閉磁路を作り、反磁界の影響を除去した測定を行う。フェライトヨーク法は、これまで薄膜の初透磁率測定に高い信頼性を持つ標準的方法として使われてきたが、TMITでは、フェライトヨーク+試料からなる閉磁路の磁気回路数値計算をすすめ、薄帯その他の準バルク材料に応用できることを実証した。

  

  特徴:試料形状自由(薄帯、微粒子シートなど0.1~数100μmの厚さ)

      利便性良く、軟磁性材料の開発プロセスの管理などに応用できる。

  測定例: 薄膜(Ni-Fe, アモルファス合金)、Fe-B 微粒子(シート)

  周波数範囲: 1KHz ~ 10 MHz

  

  参考文献:島田 他「磁性材料」講談社サイエンティフィック、p 331

図2.フェライトヨーク法