磁気素子、デバイスを設計する担当者には材料の磁歪の知識は馴染みにくく、考慮されな傾向があるが、製品化の過程で問題を起こすことが多い。
Tohoku-TMITでは、薄膜、バルク材料の磁歪定数を計測、解析し、物理的背景に基づいて素子化への対策などについてConsultingを行う。
Ⅰ.Cantilever法(光てこ法)
図4のように、薄膜試料が磁化方向に応じて伸び縮みする効果(磁気弾性効果)を、レーザー光の反射によってその大きさを検出し、磁歪定数を決定する。
特 徴 :標準的な方法として信頼度高い
測定例 :Ni-Fe薄膜 各種アモルファス合金薄膜、Fe-Ga高磁歪薄膜
膜厚の範囲:約5nm~数μm
測定可能範囲:0.1ppm~
図4.Cantilever(光てこ)法
参考文献
1) Y. Endo, Y. Mitsuzuka, Y. Shimada, M. Yamaguchi, J. Appl. Phys. 109, 07D336 (2011).
" Influence of Magnetorstriction on Damping Constant of NixFe1-x Film With Various Ni Concentrations (x)"
2) Y. Endo, T. Sakai, T. Miyazaki, Y. Shimada, IEEE Trans. Magn. 53, 2502305 (2017).
"Effect of Film Thickness on High Frequency Magnetic Properties of Polycrystalline Fe-Ga Films"
3) 磁性ハンドブック
Ⅱ. MSLプローブによる磁歪測定
TMITメンバーにより、新規に開発された薄膜磁歪測定法です。MSLプローブが局所的な磁気共鳴プロファイルを測定できることを利用する。図5のように、薄膜試料を湾曲したステージに取り付けることにより、薄膜に良く制御された張力を与え、磁気弾性効果による磁気共鳴周波数の変化を検知し、磁歪定数に換算する。
特 長 :試料形状に制限がない。磁性材料の高周波磁気弾性効果研究に有効な手法
測定例 :Siウエハー基板CoNbZr系アモルファス薄膜の磁歪分布の測定
膜厚範囲:25nm~数μm
図5.MSLプローブによる磁歪測定
参考文献
1) Y. Endo, O. Mori, Y. Shimada, S. Yabukami, S. Sato, R. Utsumi, Appl. Phys. Lett. 112, 252403 (2018).
" Study on measurement technique for magnetization dynamics of thin films"
2) 遠藤 恭, まぐね 14, 33 (2019),
"新規高周波伝送線路型プロービングによるSHF帯磁気ひずみ計測技術の開発"
Ⅲ. 薄帯材料の磁歪測定
バルクの磁性材料の磁歪測定は、従来からストレーンゲージ法が用いられるが、代表的な軟磁性材料の一つであり今後広い応用分野が見込める液相急冷アモルファス薄帯、微結晶薄帯では、厚さが数10μmであるため、従来法では困難になる。本方法はTohoku-TMITメンバーにより開発され、実用化にむかってデータ蓄積をすすめている。
図6のように、薄帯試料に伸び荷重を印可し、磁気弾性効果による磁気異方性の変化を、直流磁場中の透磁率の変化として捉え、磁歪定数に換算する。
特 長 :これまで困難であった薄帯の磁歪を、比較的簡単なシステムで計測する。
測定例 :Fe-Si-B アモルファス薄帯
試料形状: 200mm(L)x10mm(W), 10 ~100 μmt
図6.薄帯磁歪測定装置
参考文献
1) 工事中
〒980-8579
仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-05
東北大学医工学研究科薮上研究室内
Tohoku-TMIT
TEL:022-795-7059
E-mail:kazuokita@ecei.tohoku.ac.jp
Tohoku-TMIT c/o Yabukami-lab.
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6-6-05 Aoba, Sendai 980-8579 Japan
TEL : +81-22-795-7059
E-mail: kazuokita@ecei.tohoku.ac.jp